ANSWER / 結論
一等は有人地帯目視外(レベル4)に対応する最上位資格。二等は特定飛行の許可申請が大幅に簡略化される標準資格。
📝 この記事の要点
- ●費用は二等・経験者コース約12〜20万円 / 初学者約32〜37万円。一等は経験者45〜65万円 / 初学者80〜110万円。
- ●業務の8〜9割は二等で対応可能。一等が必須なのはレベル4飛行(都市部物流・有人地帯インフラ点検)のみ。
- ●2025年12月18日の制度改正で民間資格の許可申請優遇が廃止。業務利用では二等以上の国家資格が事実上必須。
📊 重要な数字とデータ
| 二等の主なメリット | 特定飛行の許可申請が大幅簡略化(カテゴリーII対応)(出典: 国土交通省) |
|---|---|
| 一等の独自メリット | カテゴリーIII(有人地帯目視外・レベル4)飛行が可能(出典: 国土交通省) |
| 二等学科試験 | 三肢択一50問・30分・正答率80%以上(出典: 日本海事協会) |
| 一等学科試験 | 三肢択一70問・75分・正答率90%以上(出典: 日本海事協会) |
| 技能証明書の有効期限 | 3年(更新時に身体検査が必要)(出典: 国土交通省) |
| 制度施行日 | 2022年12月5日(改正航空法)(出典: 国土交通省) |
目次
「一等と二等、どちらを取ればいいのか?」——ドローン国家資格を検討する方が最初にぶつかる問いです。費用・難易度・業務範囲に明確な差があるため、目的を整理してから選ばないと後悔します。本記事では、できる飛行・費用・難易度・業務シーン別の判断基準を、検定審査員の視点で整理します。
30秒でわかる結論
| 項目 | 二等無人航空機操縦士 | 一等無人航空機操縦士 |
|---|---|---|
| 対応飛行レベル | レベル1〜3.5(無人地帯目視外まで) | レベル1〜4(有人地帯目視外まで) |
| カテゴリーIII対応 | ✕ | ○ |
| 費用(初学者) | 約32〜37万円 | 約80〜110万円 |
| 費用(経験者) | 約12〜20万円 | 約45〜65万円 |
| 学科試験 | 50問・30分・80%以上 | 70問・75分・90%以上 |
| 取得期間(経験者) | 最短2日 | 最短5〜7日 |
| 推奨対象 | 業務利用全般 | 物流・有人地帯点検・自治体大型案件 |
ほとんどの業務利用者に推奨するのは二等。 一等が必須になるのは、有人地帯の上空を目視外で飛行させるケース(都市部物流・住宅地のインフラ点検等)に限られます。
飛行レベルとカテゴリー区分
ドローン飛行はリスク水準によりカテゴリーI〜IIIに分類され、一等と二等でカバー範囲が異なります。
| カテゴリー | 飛行内容 | 二等 | 一等 |
|---|---|---|---|
| カテゴリーI | 特定飛行に該当しない飛行 | ○ | ○ |
| カテゴリーII | 特定飛行・第三者上空を飛行しない | ○(許可簡略化) | ○(許可簡略化) |
| カテゴリーIII | 特定飛行・第三者上空で飛行(レベル4) | ✕ | ○ |
「特定飛行」とは人口集中地区・夜間・目視外・25kg超など9区分。二等で「カテゴリーIIの許可が簡略化」されるだけでも、業務コストは大幅に下がります。
カテゴリーIIIを実施するには一等資格+第一種機体認証+運航管理体制の3要件がすべて必要です。資格だけでは飛べません。詳細はレベル4飛行の要件と活用を参照してください。
費用と期間の詳細比較
二等の費用
| 区分 | 受講料目安 | 試験・申請費計 | 総費用目安 |
|---|---|---|---|
| 初学者 | 約302,500円 | 約17,000円 | 約32〜37万円 |
| 経験者 | 約98,000円 | 約17,000円 | 約12〜20万円 |
※試験・申請費の内訳:学科受験料8,800円+身体検査5,200円+交付申請料3,000円
一等の費用
| 区分 | 受講料目安 | 試験・申請費計 | 総費用目安 |
|---|---|---|---|
| 初学者 | 約800,000円 | 約26,000円 | 約80〜110万円 |
| 経験者(二等保有) | 約528,000円 | 約26,000円 | 約45〜65万円 |
※一等追加費用:学科受験料9,900円+身体検査(指定医)10,000〜30,000円+交付申請料3,000円+登録免許税3,000円
費用を抑える最も有効な手段は**経験者コースの活用と教育訓練給付金**(受講料の最大70%還付)の組み合わせです。
取得難易度の比較
学科試験
| 項目 | 二等 | 一等 |
|---|---|---|
| 問題数 | 50問 | 70問 |
| 試験時間 | 30分 | 75分 |
| 合格基準 | 正答率80%以上 | 正答率90%以上 |
| 受験料 | 8,800円 | 9,900円 |
| スクール修了者合格率 | 約90% | 約75% |
一等は出題範囲にレベル4特有のリスク管理・運航計画・第一種機体認証の知識が追加されます。
実地試験(修了審査)
| 項目 | 二等 | 一等 |
|---|---|---|
| 合格基準 | 70点以上(100点減点方式) | 80点以上 |
| GPSモード | GPS ON 中心 | ATTIモード(GPS OFF)前提 |
| 主要課題 | スクエア・8の字・異常事態対応 | 高難度スクエア・ピルエットホバリング・8の字+緊急着陸 |
| 実施環境 | 屋内可 | 屋外実施 |
一等の実地試験で最も難易度が高いのはATTIモード(GPS無効)での手動操縦。GPSに頼れない状態で正確な位置保持が求められるため、独学合格率は10%以下です。
業務シーン別の選び方
| 業務シーン | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| 不動産・観光・イベント空撮 | 二等 | カテゴリーII内で完結 |
| 建設測量・進捗管理 | 二等(+目視外限定変更) | 現場は立入管理エリアが多い |
| インフラ点検(橋梁・送電線) | 二等または一等 | 住宅地隣接なら一等が安全策 |
| 都市部物流・ドローン配送 | 一等(必須) | レベル4飛行が前提 |
| 自治体入札・大型公共工事 | 一等を推奨 | 応札条件に一等指定が増加中 |
| 副業・小規模業務 | 二等 | 費用対効果が高い |
迷った場合のシンプルな判断基準:**「住んでいる人がいる場所の真上を目視外で飛ぶ必要があるか」**でYES/NOを判断してください。NOなら二等で十分です。
取得ルートの選択
国家資格の取得経路は2つです。一等・二等どちらも同じルートが選べます。
| 項目 | 登録講習機関ルート(推奨) | 一発試験ルート |
|---|---|---|
| 実地試験 | 修了審査で免除 | 受験必須 |
| 一等の合格率 | 70〜85% | 10%以下 |
| 二等の合格率 | 約90% | 約30%(独学) |
| 費用 | 受講料+試験料 | 受験料のみ(約4〜5万円) |
| 推奨対象 | ほぼ全員 | 操縦経験100時間以上の熟練者のみ |
一等の一発試験は「安く見えるが実質的に難しい」選択。不合格を繰り返すと受験料だけで受講料を超えます。取得の全7ステップはドローン国家資格の取り方で解説しています。
段階的ステップアップの費用試算
「まず二等を取り、業務拡大に応じて一等へ」というルートが費用対効果の面で推奨されます。
| ステップ | 内容 | 費用目安(経験者コース) |
|---|---|---|
| ①(任意)民間資格 | FREEBIRD等で基礎技能習得 | 約20万円 |
| ②二等取得 | 経験者コース2日 | 約12万円 |
| ③実務経験(半年〜1年) | 二等で実際の業務を行う | — |
| ④一等取得 | 二等保有者として経験者コース | 約55万円 |
| 合計 | 一等まで到達 | 約87万円 |
初学者で一等を直接取得すると約90〜110万円かかるため、ステップアップの方が費用が安く、実務スキルも段階的に積み上げられます。
限定変更との組み合わせで業務範囲を広げる
一等・二等の基本コースは「昼間・目視内・25kg未満」が前提です。業務ニーズに応じて、以下の限定変更を追加取得することで対応範囲が大幅に広がります。
| 限定変更 | 解禁される業務 | 費用目安 |
|---|---|---|
| 夜間飛行 | 夜景撮影・夜間点検・夜間警備 | 5〜8万円 |
| 目視外飛行 | FPV点検・遠隔監視・広域測量 | 5〜8万円 |
| 25kg以上機体 | 大型農薬散布機・重量物輸送 | 5〜8万円 |
業務シーン別の推奨組み合わせ例:
- 建設業(測量・進捗管理):二等+目視外
- インフラ点検(夜間対応):二等または一等+夜間+目視外
- 農業(農薬散布):二等+25kg超
- 災害対応(自治体):一等+夜間+目視外
限定変更の詳細は限定変更コース(夜間・目視外・25kg超)完全ガイドを参照してください。
二等・一等それぞれのキャリアパス
二等保有者の主なキャリアパス
| パス | 収入目安 |
|---|---|
| 副業空撮(不動産・観光) | 追加収入+月10〜40万円 |
| 建設業・社内ドローン担当 | 本業+月3〜10万円の手当 |
| フリーランス空撮 | 年300〜600万円 |
| 測量・点検会社への就職 | 年400〜600万円 |
一等保有者の主なキャリアパス
| パス | 収入目安 |
|---|---|
| プロパイロット(フリーランス) | 年600〜1,500万円 |
| ドローン物流オペレーター | 年500〜1,000万円 |
| インフラ点検プロ | 年600〜1,200万円 |
| 自治体・公共工事案件 | 年500〜800万円 |
一等保有者は希少性が高く、案件単価が二等の2〜3倍になるケースが多いです。ただし第一種機体認証取得や機材投資など追加コストも大きいため、業務収益化の見込みを事前に立てることが重要です。
市場の最新動向
2025年12月18日付で民間資格を活用した飛行許可申請の優遇措置が廃止されました。これにより、業務利用では二等以上の国家資格取得が事実上の前提条件となっています。
また2026年以降、レベル4飛行の本格運用フェーズが進み、物流・インフラ点検・災害対応で一等保有者の需要が拡大しています。自治体入札でも一等資格を応札条件に指定するケースが増加中です。
このトレンドを踏まえると、長期的に本格的なドローン事業を展開したい方は、二等で業務を始めながら1〜2年後の一等取得を計画に組み込んでおくことを推奨します。
ドローン免許センターについて
横浜校・千葉流山校で一等・二等の両コースを提供。国土交通省登録講習機関(Office Code 89)として、検定審査員が直接指導する完全屋外実技訓練と少人数制(講師1名に受講生最大2名)を採用しています。
二等国家資格コースの詳細 → 一等国家資格コースの詳細 → 無料相談・問い合わせ →
よくある質問
Q1. 一等を取れば二等の範囲もカバーされますか?
はい。一等はレベル1〜4すべてをカバーし、二等を別途取る必要はありません。ただし限定変更(夜間・目視外・25kg超)は一等でも別途取得が必要です。
Q2. 民間資格を持っていると一等・二等の取得で有利ですか?
経験者コースの受講資格として有効です。受講料・期間が大幅に短縮されます。ただし2025年12月18日の制度変更で民間資格による許可申請優遇は廃止されたため、業務利用では最終的に国家資格が必要です。
Q3. 一等資格があればすぐにレベル4飛行ができますか?
いいえ。一等資格に加え、第一種機体認証を受けた機体と運航管理体制の整備が必要です。機体認証の取得には数か月〜半年程度かかります。
Q4. 二等から一等へのステップアップ時に割引はありますか?
はい。二等保有者は一等経験者コースが利用でき、初学者コース(約80〜100万円)に対して約55万円前後で取得可能です。
Q5. 一等と二等で更新手続きは異なりますか?
有効期限3年・更新手続きの基本は同じですが、一等は更新時に登録免許税3,000円が追加で発生します。身体検査の基準も一等の方が厳しく、指定航空身体検査医による診断が必要です。
Q6. 副業目的なら二等で十分ですか?
空撮・建設測量・不動産撮影などの小〜中規模案件は二等で十分対応できます。案件単価を上げたい、自治体案件を狙いたい段階で一等を検討するのが費用対効果の面で合理的です。
Q7. 女性や高齢者でも一等は取れますか?
取得可能です。年齢・性別による制限はなく、ATTIモードの習熟が鍵です。スクールでの十分な訓練を受ければ合格水準に達します。実際に60〜70代の取得者実績もあります。
一等取得後の実務準備チェックリスト
一等国家資格を取得しただけではレベル4飛行はできません。以下の準備を並行して進める必要があります。
第一種機体認証の取得
レベル4飛行には一等資格に加え、機体が第一種機体認証を受けていることが必要です。
| 認証方式 | 内容 | 費用・期間目安 |
|---|---|---|
| 型式認証(メーカー申請) | メーカーが型式単位で取得 | 数か月〜1年(受験者負担なし) |
| 個別機体認証(所有者申請) | 機体ごとに個別申請 | 数十万円・数か月 |
2026年4月時点で第一種機体認証を取得済みの機体は限定的です。対応機体の最新リストは国土交通省のDIPS2.0または型式認証機体一覧で確認してください。
運航管理体制の整備
カテゴリーIII飛行では以下の運航管理体制が求められます。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| リスク評価書の作成 | 飛行エリアの第三者リスク・衝突リスクを定量評価 |
| 緊急時手順書の整備 | GPSロスト・通信途絶・バッテリー切れ時の対応を明文化 |
| 飛行マニュアル | カテゴリーIIIに対応した詳細版を作成 |
| 保険加入 | 対人1億円以上の賠償責任保険(一等・レベル4では特に高額推奨) |
一等資格取得から実際にレベル4飛行を開始するまで、機体認証取得や運航管理体制整備を含めて6か月〜1年かかるのが現実的な見立てです。一等を取得する時期から逆算して準備を進めてください。
関連記事
/
執筆: ドローンライセンススクール 記事編集部 (ドローン免許センター 公式ブログ編集チーム)