ANSWER / 結論
一等無人航空機操縦士はレベル4飛行(有人地帯目視外)に対応できる唯一の国家資格。物流・有人地帯点検のプロには必須。
📝 この記事の要点
- ●取得は登録講習機関ルート一択。一発試験は実地合格率10%以下で現実的でない。
- ●費用は経験者(二等保有)で総額約55〜58万円、初学者で約83〜85万円。二等からのステップアップが費用・スキル両面で最適。
- ●レベル4飛行には一等資格+第一種機体認証+運航管理体制の3要件がすべて必要。資格だけでは飛べない。
📊 重要な数字とデータ
| 学科試験 | 三肢択一式70問・75分・正答率90%以上(出典: 日本海事協会) |
|---|---|
| 実地講習時間(経験者) | 学科9時間以上+実地10時間以上(出典: 国土交通省告示) |
| 実地講習時間(初学者) | 学科18時間以上+実地50時間以上(出典: 国土交通省告示) |
| 修了審査合格基準 | 減点方式・80点以上(二等は70点以上)(出典: 国土交通省) |
| 費用相場(経験者) | 総額約55〜58万円(DSL一等経験者コース基準)(出典: ドローン免許センター) |
目次
「一等無人航空機操縦士はどうやって取るのか?」「費用と期間はどれくらい?」「二等との違いは?」——本記事では、ドローン国家資格の最上位ライセンス「一等無人航空機操縦士」の取得方法を、登録講習機関ルートを中心に、費用・期間・試験内容・レベル4飛行の要件まで解説します。
一等資格でできること
一等無人航空機操縦士は、2022年12月5日施行の改正航空法で創設された最上位の国家資格です。
| 飛行レベル | 内容 | 二等で対応 | 一等で対応 |
|---|---|---|---|
| レベル1〜3 | 目視内・無人地帯目視外 | ○ | ○ |
| レベル3.5 | 立入管理措置撤廃 | ○ | ○ |
| レベル4 | 有人地帯目視外(カテゴリーIII) | ✕ | ○ |
一等が必須になる業務の代表例:
- 都市部のドローン配送(医薬品・食料・小荷物)
- 有人地帯上空でのインフラ点検(橋梁・送電線・煙突)
- 住宅地に隣接した公共工事の点検
- レベル4対応の自治体・公共入札案件
業務の8〜9割は二等で対応可能なため、必要性が明確でない場合はまず二等から始めることを推奨します。一等と二等の詳細比較は一等と二等の違いを徹底比較を参照してください。
2つの取得ルート比較
一等資格の取得経路は2つです。
| 項目 | 登録講習機関ルート(推奨) | 一発試験ルート |
|---|---|---|
| 実地試験 | 修了審査で免除 | 受験必須 |
| 費用(経験者) | 約55〜58万円 | 約4〜5万円(受験料のみ) |
| 期間(経験者) | 5〜7日 | 数か月(独学期間込み) |
| 修了審査・実地合格率 | 70〜85% | 10%以下 |
| 練習機体 | スクール提供 | 自前調達 |
| 推奨対象 | ほぼ全員 | 操縦経験100時間以上の熟練者のみ |
一発試験は費用が安く見えますが、実地合格率10%以下という数字は「頑張れば受かる」試験ではないことを意味します。 不合格を繰り返すと受験料と機材費用が積み重なり、結果的に受講料を超えます。確実に取得するなら登録講習機関ルート一択です。
講習時間の国土交通省告示基準
登録講習機関が提供しなければならない最低講習時間は、国土交通省告示で定められています。
| 区分 | 学科 | 実地 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 一等・初学者 | 18時間以上 | 50時間以上 | 68時間以上 |
| 一等・経験者 | 9時間以上 | 10時間以上 | 19時間以上 |
二等との比較:初学者の実地講習が二等10時間に対して一等50時間(5倍)。これが一等の費用が高い主因です。
「経験者」として認定される主な条件:
- 二等無人航空機操縦士を保有している(最も一般的)
- 民間資格保有+相応の操縦経験(スクールによって基準が異なる)
経験者・初学者の条件詳細は経験者と初心者の最短ルート完全比較を参照してください。
一等取得の標準フロー(7ステップ)
STEP 1:DIPS2.0アカウント開設・申請者番号取得(5〜10分)
国土交通省の「ドローン情報基盤システム DIPS2.0」でアカウントを開設し、技能証明申請者番号を取得します。スクール申込時にも必要な番号です。
STEP 2:登録講習機関の一等コースに申込(1〜2週間前)
経験者の場合は二等技能証明書を、その他の経験者条件を満たす場合は飛行ログ等を提出します。
STEP 3:学科講習(オンライン・9〜18時間)
一等の学科範囲は二等の4科目に加え、「レベル4飛行特有のリスク管理」「運航計画策定」「第一種機体認証」が追加されます。DSLでは学科講習をオンラインで受講可能。スクール受講前に完了しておくと、実技日程を短縮できます。
STEP 4:実地講習(屋外・ATTIモード前提・10〜50時間)
一等の実地講習は二等と大きく異なる2点があります。
- 屋外実施:屋内ネットでは対応不可
- ATTIモード(GPS無効)前提:GPSに頼れない状態での正確な操縦が求められる
一等の主要実技課題:
- 高度変化を伴うスクエア飛行(ATTIモード)
- ピルエットホバリング(機体を回しながらホバリング・20〜25秒で360度)
- 緊急着陸を伴う8の字飛行
STEP 5:修了審査(机上・口述・実技・80点以上)
登録講習機関内で実施される修了審査に合格すると、指定試験機関での実地試験が免除されます。一等の合格基準は80点以上(二等は70点以上)。
| 科目 | 内容 |
|---|---|
| 机上試験 | 飛行計画作成・気象判断・リスク評価 |
| 口述試験 | 点検手順・事故報告フロー・緊急時対応 |
| 実技試験 | ATTIモードでのスクエア・ピルエット・8の字飛行 |
不合格の場合は再講習+再審査が必要です(DSLの再受験料:¥22,000程度)。
STEP 6:学科CBT試験+身体検査
学科試験:日本海事協会(ClassNK)運営の全国CBT会場で受験。70問・75分・正答率90%以上。受験料¥9,900。
身体検査:一等は指定航空身体検査医による診断書が必要です(二等の一般医診断書とは異なります)。国土交通省サイトで地域の指定医を事前に確認してください。費用目安:10,000〜30,000円。
STEP 7:技能証明書交付申請(DIPS2.0・¥3,000+登録免許税¥3,000)
DIPS2.0から申請。一等のみ登録免許税¥3,000が追加で発生します。交付まで約1〜2か月で郵送。
費用シミュレーション
経験者(二等保有)の場合
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 受講料(一等経験者コース) | 528,000円 |
| 学科試験受験料 | 9,900円 |
| 身体検査(指定医) | 10,000〜30,000円 |
| 交付申請料 | 3,000円 |
| 登録免許税 | 3,000円 |
| 合計 | 約554,000〜574,000円 |
初学者の場合
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 受講料(一等初学者コース) | 約800,000円 |
| 学科試験受験料 | 9,900円 |
| 身体検査(指定医) | 10,000〜30,000円 |
| 交付申請料 | 3,000円 |
| 登録免許税 | 3,000円 |
| 合計 | 約826,000〜846,000円 |
経験者(二等保有)ルートなら初学者より約27万円節約できます。費用を抑えるもう一つの手段が教育訓練給付金で、受講料の最大70%が還付されます。
取得期間の目安
| 区分 | 全試験完了まで | 技能証明書受取まで |
|---|---|---|
| 経験者(二等保有) | 約1.5〜2か月 | 約3〜4か月 |
| 初学者 | 約3〜4か月 | 約5〜6か月 |
実技日数は経験者で5〜7日、初学者で7〜10日。ただし技能証明書は申請から郵送まで1〜2か月かかるため、業務開始時期から逆算してスケジュールを立てることが重要です。
一等の試験内容詳細
学科試験(CBT・70問・75分)
出題は「無人航空機の飛行の安全に関する教則 第4版」(国土交通省・令和7年4月適用)から。二等の4科目に以下が追加されます。
- レベル4飛行特有のリスク評価フレームワーク
- 複雑な運航シナリオの安全評価
- 第一種機体認証の要件と手続き
- 最新の制度動向・運用ガイドライン
スクール受講者はオリジナルの模擬問題が提供され、独学より効率的に対策できます。
実地試験(修了審査)の採点ポイント
落ちる受講者の傾向:
- ATTIモードで機体を安定させられない(最も多い失敗)
- 口述で「マニュアル丸暗記」が露呈——「なぜそのルールがあるか」まで説明できない
- 机上試験で気象判断が甘い——風速・視程の安全基準を数値で把握していない
DSLでは口述ロールプレイングを必修化し、ATTIモード集中訓練も組み込んでいます。
一等取得後に必要な追加準備(レベル4飛行開始まで)
一等資格を取得しても、レベル4飛行をすぐに始められるわけではありません。
追加要件1:第一種機体認証
カテゴリーIII飛行には第一種機体認証を受けた機体が必要です。2026年4月時点の主な第一種認証機体:
- DJI Matrice 30シリーズ
- DJI Matrice 350 RTK
- Yamaha FAZER R G2
認証取得の手続きは機体メーカーまたは国土交通省に申請。取得期間3〜6か月・費用100万円規模が目安です。
追加要件2:運航管理体制の整備
レベル4飛行では運航マニュアルとリスク評価書の作成・遵守が必須です。専門知識が必要なため、行政書士や運航コンサルタントへの依頼費用として10〜30万円程度かかるケースがあります。
機体認証から運航開始までの準備期間は一等取得後さらに3〜6か月が現実的な見込みです。
ドローン免許センターの一等コース
横浜校・千葉流山校で一等国家資格コースを開講。国土交通省登録講習機関(Office Code 89)として、以下の体制で運営しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受講料(経験者コース) | ¥528,000〜 |
| 期間 | 実技10時間以上(経験者) |
| 指導体制 | 検定審査員直接指導・少人数制(講師1名に受講生最大2名) |
| 実施環境 | 完全屋外実地訓練(一等試験条件と同一) |
| 限定変更同時受講 | 各¥55,000で追加可能 |
一等国家資格コースの詳細と空き日程 → 二等からのステップアップ相談 → 無料相談・問い合わせ →
よくある質問
Q1. 二等を持っていなくても一等を直接取れますか?
制度上は可能ですが、初学者で一等を取ると受講料が約80万円かかります。二等取得(約32万円)→一等経験者コース(約55万円)と分けると、合計約87万円で初学者一等(約83万円)とほぼ変わりませんが、段階的な技能習得と二等資格の早期取得という実務メリットがあります。
Q2. 一等取得後すぐにレベル4飛行はできますか?
できません。一等資格に加え、第一種機体認証を受けた機体と運航管理体制の整備が必要です。取得後3〜6か月の追加準備期間を見込んでください。
Q3. 一等の身体検査は二等より厳しいですか?
はい。一等は指定航空身体検査医による診断書が必要で、二等の一般医による書類受検(¥5,200)とは異なります。地域の指定医は国土交通省サイトで事前に確認してください。
Q4. 一等の修了審査合格率は?
登録講習機関での修了審査合格率は70〜85%です。落ちる方の多くはATTIモードの練習不足と口述対策不足が原因です。
Q5. 限定変更(夜間・目視外・25kg超)は一等と同時に取れますか?
同時受講が可能です。各限定変更をDSLで追加受講する場合は各¥55,000。業務ニーズに合わせて組み合わせると費用・時間ともに効率的です。詳細は限定変更ガイドを参照してください。
Q6. 法人で従業員に一等を取らせる場合の補助金は?
人材開発支援助成金で受講料の45〜60%が補助されます(一等は高額なため補助の実額が大きい)。法人受講の詳細は教育訓練給付金と補助金活用を参照してください。
Q7. 一等の更新はどうすれば?
有効期限は3年。更新時は学科のみ(75分)+身体検査(指定医)+申請手数料¥2,850+登録免許税¥3,000が必要です。二等より更新コストが高い点に注意してください。
一等取得を目指す方へ:業界別活用シナリオ
シナリオ①:ドローン物流スタートアップへの転職
一等資格+第一種機体認証の運航経験を持つオペレーターは、ドローン配送スタートアップや大手物流会社のドローン部門で高い需要があります。2026年以降、ヤマトホールディングス・楽天・ANAグループなどがレベル4飛行を前提とした物流オペレーターの採用を積極化しており、年収500〜800万円規模の求人が増加しています。一等取得は転職・独立の強力な武器になります。
シナリオ②:建設・インフラ点検会社でのプロ化
既存の建設会社・インフラ点検会社で、一等資格を持つ社員が有人地帯での橋梁・送電線・煙突点検を受注するケースが増加しています。1件あたりの点検費用が二等対応案件の2〜3倍になるケースがあり、資格取得費用(約55万円)を早期回収できます。
| 業務種別 | 二等対応相場 | 一等対応相場 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 橋梁点検(1日) | 10〜15万円 | 20〜30万円 | +10〜15万円/日 |
| 送電線点検(1件) | 8〜12万円 | 15〜25万円 | +7〜13万円/件 |
| 都市部建物外壁 | 5〜8万円 | 12〜20万円 | +7〜12万円/件 |
シナリオ③:自治体の防災・災害対応部門での活用
災害発生時の有人地帯上空での物資配送・被災状況把握にはレベル4飛行が必要です。自治体の防災部門で一等資格保有者を採用・育成する動きが増加しており、包括連携協定を結んでいる民間スクールに依頼して一等資格を持つ職員を育成するケースもあります。
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執筆: ドローンライセンススクール 記事編集部 (ドローン免許センター 公式ブログ編集チーム)