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損害保険ドローン活用ガイド|損害査定・屋根点検・災害調査【2026年版】

損害保険会社・損害調査会社がドローンで自然災害・火災・屋根損害の査定を内製化する手順と費用を解説。テラドローンと三井住友海上の協業事例、東京海上日動の最先端損害確認技術、業界補助金まで実務目線でまとめた法人研修ガイド。

ドローンライセンススクール 記事編集部読了 約11
📚 GUIDEこの記事は「法人ドローン研修 完全ガイド」の一部です

ANSWER / 結論

テラドローンと三井住友海上・あいおいニッセイ同和が協業し、全国約500のドローン屋根点検ネットワークで自然災害後の屋根損害査定スピードを大幅に改善。ドローン調査1週間以内・着工1か月以内を実現。

📝 この記事の要点

  • 東京海上日動は最先端損害確認技術として衛星写真とドローンを組み合わせた査定体制を構築。大手損保のドローン査定は業界標準化が進んでいる。
  • 屋根損害査定でドローンを使うと足場不要で査定時間が1/3〜1/5に短縮。査定員の高所作業リスクもゼロになる。
  • 業務利用には二等国家資格が必要(2025年12月18日に民間資格優遇廃止)。広域の被災地調査には目視外限定変更が追加で必要なケースがある。

📊 重要な数字とデータ

テラドローン×損保協業の規模全国約500のドローン屋根点検ネットワーク(三井住友海上・あいおいニッセイ同和と協業)(出典: リフォーム産業新聞 テラドローンインタビュー
査定時間の短縮高所作業足場不要で査定時間1/3〜1/5(出典: 損害調査会社事例
東京海上日動の取組衛星写真+ドローンの組み合わせで最先端損害確認技術を構築(出典: 東京海上日動 公式サイト
業務利用の必須資格二等無人航空機操縦士(2025年12月18日に民間資格優遇廃止)(出典: 国土交通省 審査要領改正
人材開発支援助成金受講費の45〜60%(中小企業最大75%)(出典: 厚生労働省
目次

「自然災害後の屋根損害査定で査定員の高所作業リスクを減らしたい」「台風シーズンに査定件数が急増しても処理しきれない」「ドローン査定を内製化して競合との速度差を縮めたい」——本記事は、損害保険会社・損害調査会社・鑑定人事務所向けに、ドローン査定の内製化を実務レベルで整理したガイドです。

損害保険業界のドローン活用の現状

大手損保各社(東京海上日動・損保ジャパン・三井住友海上・あいおいニッセイ同和)はドローン査定の内製化・外部連携を積極的に進めています。

テラドローンは三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険と協業し、全国約500のドローン屋根点検ネットワークを活用した自然災害対応体制を構築しています。工事会社が未決の段階からドローン現地調査(1週間以内)〜見積もり〜着工(1か月以内)をワンストップで提供するモデルで、査定スピードを大幅に改善しています。

東京海上日動は「最先端の損害確認技術」として衛星写真とドローンを組み合わせた査定体制を構築しており、規制・天候でドローンが使えない場合に衛星写真で補完する体制を整えています。

自然災害の頻発化(2019年台風15号・19号、2021年熱海土石流、2024年能登半島地震等)のたびに大規模なドローン投入が実績を積み、業界標準化が進んでいます。

損害保険業界の活用領域

自然災害後の広域調査

台風・水害・地震・降雪が発生した翌日から始まる広域調査では、被害世帯の分布・優先順位付け・アクセス困難地域の把握にドローンが有効です。

  • 被災エリア全体の俯瞰映像(被害の全体像把握)
  • 個別物件の屋根・外壁損害の記録
  • 道路損壊・冠水でアクセス困難な地域の状況確認
  • 継続的な復旧進捗の記録

広域調査では目視外飛行に該当するケースが多く、二等資格に加えて目視外限定変更が推奨されます。

屋根損害査定(最高頻度)

台風・雹(ひょう)・降雪荷重による屋根損害は、損保業界で最も件数が多い査定業務の一つです。

  • 瓦・スレート・金属屋根の損傷確認
  • ソーラーパネルのひび割れ・変形
  • 屋根材の剥がれ・飛散箇所の特定
  • 雨樋・外壁の損傷確認

足場仮設が不要になることで査定スピードが1/3〜1/5に短縮され、査定員の高所作業リスクもゼロになります。

火災損害の査定

火災現場では延焼の広がり・隣接建物への飛び火・煤煙・水損の範囲をドローンで上空から把握します。火災直後は地面が不安定なことも多く、上空からの調査は安全性の観点でも優れています。

太陽光発電所の損害査定

大規模太陽光発電所(メガソーラー)の台風・雹害では数千〜数万枚のパネルを短時間で点検する必要があります。DJI Matrice 30Tのサーマルカメラを使うと、ホットスポット・割れ・汚れを一括把握できます。

必要な許認可と資格

屋根損害査定の典型的な飛行区分

飛行区分損害査定での該当例必要資格
人口集中地区(DID)上空市街地の住宅・マンション屋根二等国家資格
第三者から30m未満隣接建物がある住宅の屋根二等国家資格
目視外飛行広域被災地の調査二等+目視外限定変更
夜間飛行火災現場の夜間調査二等+夜間限定変更

2025年12月18日の制度改正で民間資格による許可申請優遇が廃止されたため、業務利用には二等国家資格が実質必須です。

被災地での飛行に関する注意点

大規模自然災害発生直後は、国土交通省が緊急用務空域を指定することがあります。この空域内では原則ドローン飛行禁止です(航空法第132条の86)。緊急用務空域の設定・解除情報を常に確認し、解除後に即座に査定飛行を開始できる体制を平時から整えておくことが重要です。

機材選定

用途推奨機材価格目安
屋根損害査定(標準)DJI Mavic 3 Enterprise約70〜80万円
サーマル点検・ソーラー査定DJI Matrice 30T約140〜160万円
広域調査(長距離通信)DJI Matrice 350 RTK約200〜250万円

Mavic 3 Enterpriseは広角カメラと望遠カメラを搭載しており、屋根の全体像から細部の損傷まで1機で撮影できます。業務用機としての耐久性・飛行時間・通信距離が一般向け機より優れています。

補助金の活用

補助金主管対象補助率
事業再構築補助金経産省業種・業態の転換1/2〜2/3
ものづくり補助金中小企業庁設備投資(機材)1/2〜2/3
IT導入補助金経産省査定システム連携1/2〜3/4
人材開発支援助成金厚労省研修費45〜60%(中小75%)

独立系の鑑定人事務所・中小損害調査会社は中小企業向けの補助率(人材開発支援助成金75%等)が適用されるため、特に恩恵が大きくなります。

研修プランの設計

鑑定人事務所・中小損害調査会社

  • 受講者:査定員・鑑定人1〜3名
  • 取得資格:二等国家資格(+目視外限定変更)
  • 期間:2〜6か月
  • 費用目安:補助金活用後15〜40万円

大手損保・損害調査会社

  • 受講者:損害調査部門の専任チーム5〜10名
  • 取得資格:二等国家資格+限定変更(夜間・目視外)
  • 期間:6〜12か月
  • 費用目安:補助金活用後80〜200万円

損害査定の実務フロー

屋根損害査定の標準フロー

  1. 被保険者への飛行前告知(撮影目的・日時の事前説明)
  2. 飛行前チェック(機体・天候・周辺空域確認)
  3. DIPS2.0での飛行計画登録
  4. 屋根全体の俯瞰撮影(4K動画+静止画)
  5. 損傷箇所の詳細撮影(望遠)
  6. データ整理・査定レポート作成
  7. 被保険者への査定結果説明

飛行映像・静止画は証拠書類として保存管理します。被保険者・工事業者との認識齟齬を防ぐためのエビデンスとしても重要です。

よくある質問

Q1. 他人の屋根(被保険者の建物)を飛んで撮影できますか?

被保険者(建物所有者)の同意が前提です。事前に撮影目的・方法・データ管理について説明し、同意を得てから撮影します。また隣接地の上空も通過する場合、隣地所有者への事前告知が必要になるケースがあります。

Q2. 自然災害直後に現地でドローンを飛ばせますか?

大規模災害発生直後は緊急用務空域が指定されることがあり、飛行が禁止になります。国土交通省のDIPSポータル・Xアカウントで最新情報を確認し、緊急用務空域解除後に飛行を開始します。

Q3. 屋根の損傷箇所を証拠として使える品質で撮影できますか?

DJI Mavic 3 Enterpriseの4KカメラとMAP精度の高い静止画は、査定書類の証拠として十分な品質です。撮影時にGPS位置情報を含めることで、損傷箇所の正確な位置特定が可能になります。

Q4. サーマルカメラは必要ですか?

ソーラーパネルのホットスポット検出・火災現場の残熱確認・建物内断熱材の浮き確認にサーマルが有効です。屋根損害査定のみであれば通常カメラのMavic 3 Enterpriseから始め、必要に応じてMatrice 30Tに拡張する段階的投資が効率的です。

Q5. 広域被災地の査定に目視外飛行の資格は必要ですか?

操縦者の視野から外れる飛行が必要な場合は、目視外飛行に該当し二等資格+目視外限定変更が必要です。被害が広範囲に及ぶ場合は複数地点からの飛行(各地点で目視内で完結)か、目視外限定変更の取得を選択します。

Q6. 台風シーズンに合わせた研修スケジュールのポイントは?

台風シーズン(7〜10月)前の3〜6月に研修を完了させると、台風シーズンに資格を活かした査定業務に投入できます。人材開発支援助成金は受講前の計画届出が必要なため、4〜5月の研修開始なら2月〜3月に計画届出を提出するスケジュールが現実的です。

導入事例・ケーススタディ

事例1:独立系損害調査会社(関東・調査員15名)

査定員3名が二等国家資格+目視外限定変更を取得し、台風・雹害後の屋根損害査定を内製化。従来は外部の屋根点検業者(足場業者)に査定ごとに委託し1件平均8万円かかっていたが、内製化後は1件あたり1〜2万円(交通費・バッテリー消耗)に削減。台風19号相当の大型台風来襲後2週間で300件の査定をこなし、全件の平均査定日数を11日から4日に短縮。顧客からの「査定が早い」という評価が口コミで広がり、翌年の依頼件数が前年比+48%増加した。

事例2:地域密着型保険代理店(東北・従業員8名)

代表取締役が二等国家資格を取得し、DJI Mavic 3 Enterprise(約78万円)を導入。能登半島地震クラスの災害後に、大手損保が対応できないエリアの小規模火災・落雪損害査定に対応。1件あたり査定コストが従来比1/5になり、年間査定件数60件では年間削減額が約372万円。機材・研修費(補助金適用後50万円)を約7週間で回収。「即日現地調査が可能」を強みに、損保会社から優先委託を獲得した。

事例3:大手保険グループの損害調査部門(全国展開)

損害調査部員20名に対してDJI Matrice 30T(×5台)を配備し、二等資格+夜間・目視外限定変更を全員取得。太陽光発電所の雹害査定(1回あたり数千枚のパネル点検)でサーマルカメラによる一括ホットスポット検出を導入。1基当たりの査定時間が従来の人力目視(3日間・4名体制)からドローン1名・半日に短縮。年間10基のメガソーラー査定で節約工数は延べ120人工(削減コスト約240万円)。査定精度が向上し、修繕計画の漏れ指摘件数が年間8件から1件に減少した。

査定タイプ別・ドローン導入効果比較

査定タイプ従来手法従来コストドローン導入後コスト主な効果
戸建屋根損害足場仮設・高所作業5〜15万円/件1〜3万円/件査定日数1/3〜1/5、高所作業不要
メガソーラー雹害人力目視(複数日)30〜80万円/基5〜15万円/基1日完了、サーマル精度向上
広域水害(被害分布把握)人力地上調査100〜300万円/地区10〜30万円/地区同日翌日対応、道路損壊も把握
火災現場(延焼範囲)現場立入・目視5〜20万円/件1〜3万円/件安全確保・延焼範囲を即時把握
大規模地震(住宅密集地)徒歩巡回・報告書作成200〜500万円/日/班20〜50万円/班/日俯瞰で優先度仕分け可能

損害調査ドローン運用の実務深掘り:データ管理と証拠能力の確保

損害調査でドローン映像・写真を「査定証拠」として活用するには、撮影品質・メタデータ管理・保管期間の3点が重要です。

証拠能力のある査定記録を残すための撮影基準

記録項目基準・要件注意点
解像度4K以上(JPEGは20MP以上)拡大時に損傷箇所が判読できること
GPS情報全写真にGPSタグ付きメタデータが削除されていないこと
日時スタンプカメラ内時刻をNTPと同期法的紛争時に「いつ撮影したか」が争点になる
飛行ログDJI FlightHub等で自動保存飛行経路・高度・速度が記録されること
保管期間損害保険の時効(3年)+α少なくとも5年間の安全な保管

ドローン査定データの証拠としての活用シーン

損害調査で取得したドローン映像・写真は以下の場面で「客観的証拠」として機能します。

  • 示談交渉:被害の範囲・深刻度を映像で示すことで交渉の根拠が明確化
  • 紛争・訴訟:損害発生時点の状況を記録した「電磁的証拠」として活用
  • 再査定の防止:初回査定時の映像を保管し、再査定請求への対応資料に活用
  • 修繕業者との合意:査定根拠を共有することで修繕見積もりとのずれを最小化

被災地での安全確保と作業体制

リスク要因対応策
余震・建物崩壊リスク安全距離(建物高さの1.5倍以上)を確保
倒壊・がれきによる電波障害飛行中は常時テレメトリーを監視
緊急用務空域DIPS2.0・国交省SNSで毎朝確認してから出発
地権者・住民との関係事前通知または現地担当者との連携
熱中症・疲労2時間以上の連続飛行作業は交代制を採用

よくある質問(追加)

Q7. 損害査定でドローンを使う際、飛行許可はどこに申請しますか?

市街地(DID内)での飛行はカテゴリーII飛行に該当し、DIPS2.0での包括許可申請が必要です。被災地でも市街地エリアは同様で、緊急用務空域が指定されていないことをDIPS2.0で確認した上で飛行してください。包括許可(1年間有効)を事前取得しておけば、都度の個別申請なしに対応できます。緊急時でも「無許可での飛行」は航空法違反になるため、包括許可の事前準備が業務効率に直結します。

Q8. サーマルカメラ(熱画像)の査定への活用方法を教えてください。

サーマルカメラは建物・設備の表面温度差を色分けで可視化します。太陽光パネルの劣化(ホットスポット)・屋根の断熱材損傷(雨漏り箇所の局所的温度上昇)・電気設備の過熱(漏電・配線損傷)の検出に有効です。DJI Mavic 3T(約130〜150万円)が最も広く使われており、RGBと熱画像を同時記録できます。査定書には熱画像と通常写真を対照して添付すると、損傷箇所の位置特定と深刻度の根拠が明確になります。

Q9. ドローン査定の結果を保険会社に提出するフォーマットはありますか?

現状、業界統一フォーマットは定まっていません。各社が独自のレポートフォーマットを使用しています。損保会社から委託を受ける損害調査会社は、委託元の損保会社が指定するフォーマット・提出方法に従ってください。独自開発のレポートを使用する場合は、GPS座標付きの写真・飛行ログのPDF・損傷箇所の寸法推計・修繕費概算の4点を含めることが業界標準に近い内容になっています。

損害調査の機材選定と費用対効果の試算

損害保険・損害調査業務に使用するドローン機材の選定基準と年間コストを整理します。

機材別の特徴と用途適合性

機体搭載センサー主な査定用途機材費目安強み
DJI Mavic 3TRGB+サーマル640×512屋根・パネル・水害130〜150万円軽量・携帯性が高い
DJI Matrice 30TRGB+サーマル640×512+レーザー高精度点検・計測約150万円防水IP55・悪天候対応
DJI Matrice 350 RTKカスタム搭載可能大規模・精密測量本体200万円+カメラRTKで高精度位置情報
DJI Phantom 4 RTKRGB高精度測量・面積計算約50〜70万円手軽・住宅査定向き

機材投資回収の試算

機材費年間査定件数1件あたりコスト削減額年間削減額回収期間
DJI Mavic 3T(150万円)100件6万円600万円3か月
DJI Mavic 3T(150万円)50件6万円300万円6か月
DJI Matrice 30T(150万円)30件8万円240万円7.5か月

年間査定件数50件以上の損害調査会社では、Mavic 3Tクラスの投資が半年以内に回収できる計算になります。

ドローン免許センターの損害保険業向け研修

ドローン免許センター(DSL)は横浜校・千葉流山校を拠点に、120社以上の法人受講実績を持つ登録講習機関です。損害保険・損害調査向けには、屋根損害査定の飛行シナリオ実技・被災地での飛行計画立案・緊急用務空域への対応・包括許可申請実務を組み込んだカスタマイズ研修を提供しています。

人材開発支援助成金・事業再構築補助金の事前確認と申請書類作成のサポートも対応しています。

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執筆: ドローンライセンススクール 記事編集部 (ドローン免許センター 公式ブログ編集チーム)

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